【医師のキャリア/転職】関連病院へ出向するメリット【訪問診療】

院長・院長代行ブログ

大学医局に属していると、いわゆる関連病院に数年間の出向を命じられることがあります。

海外留学から帰り、筑波大学消化器外科で大腸疾患の責任者として約2年間頑張ったところで、わたしにも大学の比較的近くにある民間の中規模病院に2年間出向する話が来ました。

不本意だった関連病院への出向


教授から出向を申しつけられた頃、わたしは大腸部門の責任者として、県内でも少しずつ認められるようになり、いろいろな役割を果たすようになってきていました。

 

それに対し、わたしの帰国と時をほぼ同じくして関連病院になった出向先は、院長先生の評価が極端に分かれていたこともあり、わたしは出向にかなり後ろ向きの気持ちでいました。

しかし、教授からの「手術の経験が少ないお前のためだ」という言葉もあり、決意したのでした。

10年下の若手外科医を連れての出向でした。

 

着任した当初は、その若手医師から「野末先生より、わたしの方が胃がんの執刀数が多いのですね。

驚きました」と言われて、「びくっ」としたのですが、2人で懸命に患者さんの開拓をし、丁寧に診療し、そして安定した治療成績を残していくうちに、次第に患者さんの間でも、また職員の間でも認められるようになっていきました。

責任ある立場がわたしを成長させた


膵頭十二指腸切除術などの大きな手術は、その10年下の彼と交替でどちらかが執刀、もう一人が前立で行っていたのですが、1年ほどたったある時に、彼の口から「2人が交替で手術をしていているのに、なんとなく野末先生の手術した患者さんのほうが、トラブルなく退院しているような気がします。どうしてでしょう?」と聞かれました。

 

なぜかはわかりませんが、もしかしたら責任を負って施行してきた手術数の違いではないかと、その時思いました。

同じ手術を執刀するにしても、全責任を自分で負って行うのと、前立に先輩医師がいて、責任を取ってくれる場合とでは、その手術から得る経験量に大きな違いが出るのではないでしょうか?

大学では、講師になってからすぐに若手の手術の前立をすることによって、手術を主体的に組み立てることを学び、また留学から帰ってきてからは、茨城県全体から集まる難しい手術を何とかやり遂げてきた経験。これらは件数以上の、何倍もの経験となってわたしの中に蓄積されていたと思います。

 

ですから、幸いにも、外科部長として外科の全責任を負う立場として、この出向先での職務を果たせたのだと思います。

民間病院への出向は有意義で、いろいろな経験をしました。中でも名物院長との出会いは、その後のわたしの人生を大きく変えました。

名物院長が語る“医療”


その院長先生は、筑波大学で講師をしたのちに大学の近くに病院を新しくつくり、私わたしが赴任した時には開設から16年がたっていました。

 

大学医局から多くの医師が派遣されていましたが、それらの医師に対して歯に衣着せない物言いで、いつも「だから大学しか知らない君たちはダメなんだ」「もっと患者さんの立場にたって物事を考えなくちゃいけない」「そんなことじゃ、おまんまの食い上げだ」などの発言を医局会で連発して、皆からの反発を買うのです。

 

しかし、物事の本質をついているのと、どこか愛嬌、愛情を感じるので、結局は皆が苦笑いをしながら従っていくというような状況でした。


今でもよく覚えているその院長先生の発言は、「医療は医学の社会的適応だ」というものでした。

院長先生は有名な東大教授が最初に述べた言葉だと言っていましたが、調べてみると、かの有名な武見太郎元医師会長の言葉だとも紹介されています。

 

いずれにしても、わたしにとってとても刺激的なものでした。

それまで一生懸命学んできたいわゆる「医学」というものを社会的に役立つものにしていくのが「医療」であり、それこそが臨床の場で大事。そして医療を具現化していく場は公立病院よりもむしろ民間病院の方が適しているのではないかという考えに至ったからです。

またそんな院長先生でしたから、その病院にはユニークで自主性のある優秀な医師がいろいろな大学から集まってきていました。

医師以外のメディカルスタッフの人数も多く、特にリハビリスタッフの多さとその果たしている役割の大きさには圧倒されました。

第1回医療マネジメント学会の院内責任者に抜擢


そして、現在日本のマンモス学会の一つまでに発展した医療マネジメント学会の第1回をなんとその筑波記念病院主催で開催することになったのです。

 

わたしはその運営の院内責任者に抜擢され、当時始まったばかりの「クリティカルパス」に関しての臨床研究と実践を行ったのでした。

 

学会運営に携わったことで、医療マネジメントの分野で活躍する全国の方々人と知り合うことができ、その交流は今でも続いています。

 

後にわたしが庄内余目病院の院長になった時、さらには開業して個人クリニックの院長になった現在でさえも、多くの方々に助けていただいています。

「関連病院に出向するメリットは何でしょうか?」への私的結論

 

大学からの出向は、自分自身が診療科の責任者になるようなところが望ましい。

そして、できたら名物院長がいる民間病院に行き、医療とは何かについて、多職種協働の実際について学ぶことが大事。

 
 
 

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