コロナ禍で垣間見たドラマ

院長ブログ

芳賀 紀裕
あい太田クリニック 院長
芳賀 紀裕

 

 

感染者のピークを越えたとも言われている、オミクロン株による新型コロナ感染症ですが、訪問診療の場では、まだまだ楽観はできません。
デルタ株の時よりも重症化する方は、少ないとはいえ一定数おられ、その場合搬送先がなかなか決まらない状態です。

 

高齢者施設でクラスターが出ると、一度に陽性者が増えるので、その対応に追われ大変になります。

当クリニックの診療圏は群馬県、埼玉県、栃木県にまたがりますが、自治体によって新型コロナの対応が異なり、それがまた日々変わっていくので対応に難儀します。

 

そして、陽性者の日々の状態観察は施設のスタッフや訪問看護師にお願いすることになることが多くなります。

われわれ以上に接する頻度は高くなり、その方々の大変さは察するに余りあります。

これらの方々の協力がなくては診療が成り立たないので、本当にその使命感をもった仕事には感謝の念に堪えません。

 

こういったコロナ禍のなかですが、いろいろな病気を抱えつつご自宅で暮らして、訪問診療を受けている方々もおられます。

今のところ、通常の訪問診療もなんとか維持できております。

 

先日、比較的お若い方が、癌でお亡くなりになりました。

普段は奥さんと二人暮らし。お母さんもご健在で、子供さんたちも遠方におられます。

当初はわりと調子が良かったのですが、次第に厳しい状態になってきました。

ご家族たちは、コロナ禍のなか、遠方から会いに来るタイミングが難しいと、皆悩んでいました。

しかし、お母さんやご親戚も含め、ご本人が会いたいという方はお見舞いに来ることが叶いました。

帰ってくるのを躊躇していた娘さんも、最終的には沖縄から飛行機でかけつけ、最後は親子5人が集まりました。

全員そろうのは5年ぶりだとのことでした。

たまたまその際、訪問にうかがいましたが、ご本人は眠っていることが多くなってきたものの、意識もあり微笑みも見せていました。

そして何かほっとしたのか、その翌日に天国へと旅立たれました。

 

家族が集まったところで安らかに息を引き取られるといった、テレビドラマのようなシーンに遭遇することが、在宅ではしばしばあります。

これは医学ではなかなか計り知れない、命の不思議さを感じます。

 

病院では面会が厳しく制限されている中、在宅医療の役割は高まっていると感じます。

コロナ禍の中、生活を続ける方々の診療もかわらず頑張っていきたいと思います。

 

フェイスシールドをしなくてもいい日が早く来るのを願っています。

 

 

 

 

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